登録が困難な並行輸入車とは
オークション等でよく見かける並行輸入車
その中には「書類付き!」や「国内未登録!」と書かれていても実際には
登録が困難な車両が紛れています
当ページでは要注意な登録困難事例を紹介いたします
並行輸入車を購入される際のお役に立てば幸いです
不正打刻車
こちらは他のページでも紹介いたしましたが、依然として
「打刻が怪しいので職権打刻になるかもしれません!」等の文言と合わせ
通関証明書付きの並行輸入車が販売されているのが散見されます
こちらは以前の解説の通り、運輸支局側では輸出国側で打刻が行われた車両か
通関証明書に合わせ国内で不正打刻を行った車両かの判別が出来ません
残念ながら現在の基準では登録出来る可能性は非常に低くなっておりますので
不正打刻車は書類無しの載せ替えベースとしてお考え頂くのが良いかと思います
排ガス規制対象車
平成11年の排ガス規制以降製造の車両は、並行輸入登録時に
排出ガス試験結果証明書(ガスレポート)の提出が必要となります
こちらの個人での手配は困難を極め、多額の費用がかかります
尚、純正マフラーに触媒が装着されている車両の場合
社外マフラーにて車検を受験する際の為、社外マフラーメーカーがガスレポートを
用意している場合があります
この様な物を上手く使用できると登録は可能かもしれませんね
反対に何等かの方法でガスレポートをご用意頂ける場合は、排ガス規制対象者でも登録が可能です
国内登録歴のある車両
こちらは以前もQ&A【よく頂く質問】のコーナーでも紹介させて頂きました
国内にて登録後、海外に輸出された車両を再び国内で登録を行うには
国内で登録を行っていた際の登録書類(返納証明書)などが必要です
通関証明書のみでは登録できませんのでご注意を
CBX400Fあたりの国内向け車両が通関証明書付きで販売されている時はご注意を
国内向け車両かつ現地タイトル等の年式資料が無い車両
こちらは少し特殊なケースです
国内向けの車両に関してはメーカーからの出荷時、新規登録用に
製造証明書が発行されています
製造証明書の発行は1車体番号に1回までと限られており、再び
同車体番号で申請を行う事は出来ません
例として
①国内向け車両として国内市場に出荷
②国内未登録のまま、海外に輸出
③再び国内に逆輸入(登録書類は通関証明書)
の様なケースの場合、メーカーは通関証明書では製造証明書を発行してくれません
この場合、海外での登録歴を示す現地タイトル等が無い場合は、年式の証明が困難となります
かなり特殊なケースですがご注意を
CB400SFK辺りの教習用車両が通関証明書付きで販売されている場合などは要注意です
書類と年式など条件が揃えば登録は可能ですが、国内フレームに載せ替える以上の労力は必須です
海外メーカーの車両かつ現地タイトル等の年式資料が無い車両
意外と忘れがちなのですが、並行輸入で製造証明書を発行してくれるのは国内メーカーのみです
基本的に海外メーカーは正規輸入車料以外の発行依頼を受け付けていません
また販売代理店と製造者が異なり、申請先自体が不透明なメーカーも存在します
Moto guzzi等でも製造証明書の発行依頼フォームはあるのですが、利用したところ
返信はありません
可能な限り現地タイトル付きの車両をお選び頂くことをおすすめいたします
エンジン載せ替え車両において、原動機型式の記載の無い諸元表しか無い車両
少しややこしい書き方になってしまいました
順を追って説明いたします
まずはこちらを御覧ください
こちらはスズキが公開しております名車GSX-R750
の諸元表です
注目頂きたいのはエンジン型式の部分、R705です
その下には出力等、エンジンに関する諸元が
以上の内容からこちらの資料で、
・型式GR71Fの原動機型式はR705であること
・R705の出力は77ps、トルクは6.4kgmであること
・ボア・ストロークは70×48.7であること
が分かります
上記は並行輸入登録において完璧な資料です
また原動機型式と性能の記載があることから
R705エンジンが他の車両に搭載されている場合も
こちらの資料でエンジン単体の性能を証明する事が
可能です
他にも750ccで乾燥179kgという80年代では破格の数値
冷却方式に輝く油冷の文字、
張り付きを恐れない、レーサー譲りのVMキャブ
時代を先取りした前後同径のホイール
アルミダブルクレードル等
当時のスズキがGSX-Rに注いだ思いの様な物も
伝わってきますが、今は関係ありませんので割愛します
1100とはホイールベースも違うんですね
続いてこちら、手持ちの海外版ゼファー750諸元表です
こちらはメーカーHP等での公開がありませんので、
ぼかしを入れております
ご確認頂ける通り、原動機型式の記載がありません
この様な諸元表の場合
・車名又は型式と原動機型式を結び付ける資料
と組み合わせ、こちらの諸元表記載のエンジン性能が
当該原動機型式の性能である事を証明します
こちらの資料単体では原動機単体の性能であるとは
認識して貰えません
①海外仕様のゼファー750において製造時に搭載されていた原動機型式はKZ750EEです
②申請車両は製造時から原動機の変更はありません
③ですのでこちらの諸元表=申請車両の性能です
という形で申請を行う訳ですね
では仮にGSX-R750にKZ750EEエンジンが搭載された車両を登録するにはどうすれば良いのでしょうか?
通常であれば「原動機型式KZ750EEと性能が表示された諸元表」を用意すれば良いのですが
その様な物は今現在、確認出来ておりません
→海外仕様の車両の場合、諸元表に原動機型式の表記が無い為
上記のゼファーの項目で紹介した性能証明方法は、車両のエンジンが製造時から
載せ替えられていない(=製造時から原動機型式に変更なし)の場合に成り立ちます
この様な原動機型式と各種性能が表示された日本式諸元表が無いエンジンは
エンジン単体の性能証明が困難=登録が難しい、となってしまう訳ですね