弊所のホームページで必要資料等の案内の際に頻出するワード「型式」「車名」「通称名」
並行輸入登録以外の場面では保険加入時くらいしかあまり意識することもありませんよね
こちらではそれぞれのワードの意味や不明の場合のメリット・デメリットを紹介します
車名・型式とは?

まずはこちらのハンドメイド感溢れるサンプルを御覧ください
最近電子化されて小さくなった車検証です
利便性が向上した実感はありませんが、手数料が上がった事は確かです
こちらで紹介する車名や型式等が記載されています
それぞれ見ていきましょう
「車名」
こちらは車両を製作したメーカー名などが記載されます
車両の通称名(CB400N)や固有名称(ホークIII)などとは異なります
並行輸入の際には製造者が特定可能な場合は、その製造者名
特定できない場合は「不明」となります
「型式」
日本国内で行われる自動車の型式認証番号となります
大切なのは「日本国内」という部分、メーカーが型式を定めている場合でも
国内で認証を受けていない車両は、登録時には「不明」となります
例えばCB900Fの製造証明書を取り寄せた場合、型式欄に「SC01」と記載されています
ですがCB900Fは750cc規制の影響で海外販売限定車両ですので、国内で型式の認定は受けていません
よって国内登録時は型式不明となります
またGSX400EのGK51C・GK53Cなど同じ通称名の車両でも海外仕様で型式が異なる車両があります
この様な場合も国内認証車両と同一性が証明できない場合は、型式不明となります
これらの制度が厳格化されたのは恐らく平成17年頃の車名等の記載方法が明文化された際かと思われます
と言うのもそれ以前に登録された逆輸入車の型式はかなりいい加減で、GSX1100sの場合
「型式不明」からメーカー型式「GS110X」の物、「GSX1100」が型式となっている物、更には型式不明で職権打刻となっている物など様々な車両が混在しています
今となっては各運輸支局で対応が異なっていた事が窺い知られる物となっています
現在でも国内型式車両と関連付けての登録が可能か?(=並行輸入登録時に型式の取得が可能か)は申請先により判断基準が異なる場合が見受けられます
「原動機型式」
エンジンの型式です
こちらが不明となる事はありません
必要書類のご案内で紹介した通り、並行輸入登録においてはこちらの資料の手配で奔走する事となります
TIPS:初年度登録と保安基準適合年月日とは?
サンプルを見ると初年度登録は令和にも関わらず、参考欄の保安基準に昭和の日付が記載されています
こちらは簡単に申し上げると「昭和の車両を令和に登録した」という事を示します
登録時に製造年月日を証明する資料(現地タイトル等)を合わせて提出することで、製造当時の保安基準にて車両検査を受験する事が可能となります
車名・型式が不明デメリットとは?
上記で申し上げた通り車名とは製造者を示すものと言って差し支えございません
製造者は分からないが国内認証は受けている、という事もまず起こり得ませんので
大半は型式も不明となります
車名型式不明とは誰が作ったのかも分からず、国内の型式認定を受けていない車両のこと
普通に乗る分にも車検を受けるにも特に不都合はありません
しかし、どこの誰が作った物なのか分からないと不都合な方がいらっしゃいます
保険会社です
どちらかが不明の場合は現在主流のネット保険への加入は困難です
代理店に出向き、車両を提示した上での判断となります
しかし加入自体が不可能という訳ではありません
2025年現在で代理店を通すことで加入が可能な保険会社も存在しています
また型式不明車は車体相場の算出が困難な為、車両保険への加入も難しいですがこちらも自身で保証金額と保険料を定め加入する事で、車名型式不明車でも加入可能な保険が存在しています
またもう一点のデメリットとして一部メーカーで純正部品の注文が不可能な事があります
そもそも部品のない旧車やアフターマーケット品の豊富な車両には関わりが無い事かとは思いますが、ご注意ください
保険以外のデメリットとは?
では型式不明、車名不明車で保険以外にもデメリットはあるのでしょうか?
色々考えましたが大きな点は意外と思い付きません
無理やりひねり出すと
・一部のバイクショップで車検代行の依頼を断られる
・一部のバイク買取業者で査定額が下がる
くらいでしょうか?
何れも型式や車名云々と言うよりは旧車全般に該当する事項かと思います
メリットってあるの?
型式不明、車名不明とは登録過程でそうならざるを得ず、結果としてなるもの
基本的にはメリットはありません
型式不明車であれば通常構造変更が必要な「ドラムブレーキ→ディスクブレーキ化」も改造申請不要と紹介させて頂きました
こちらは現在は誤りとなっております
国内新規登録後は通常の国内車両と同様、改造申請が必要です
こちらは以前の制度上、型式不明車において輸入時の提出資料の保管期限が超過した車両は
陸運局側で輸入時の状態を把握する事が出来ない為、本来改造申請が必要な変更も見過ごされてきた事に起因します
まとめると輸入時にディスクブレーキ化されていた本来ドラムブレーキの車両の登録は
改造申請不要で新規登録可
ディスクブレーキ車両として新規登録した車両は、型式に関わらず以降のドラムブレーキ化は改造申請が必要となります
リジットフレームでも車名不明ならOK?基準は?
これもたまに頂戴するお問合せです
リアショックが無いリジットフレーム、一部の方にとっては憧れなのでは無いでしょうか?
しかし国内の保安基準にて置いて、リアショックの取り外し=リジット化は
一切認められていません
ですがリジットフレーム車(以下リジット車)を輸入し国内で登録する事は認められています
ではリジット車が認められるケースはどういった場合でしょうか?
以下で紹介します
・製造時点からリアショックの無い車両
→本来の車名OK!
ハーレーであれば1958年以前の車両はそもそも本来からリジットフレームです
国内であれば陸王もリジットフレームですね
こちらはメーカー製造の車両ですのでリジット車である場合も車名は本来の物となります
→車名:ハーレーダビッドソンなど
反対に1958年以降製造のハーレー車にも関わらずリジットフレームの物は、明らかにメーカー製造車両本来の状態ではありませんので、車名は「不明」となり職権打刻が行われます
これはフレーム側に何らかの方法でハーレーの正規打刻が行われている場合も同様です
🍳☓
以前はこの区分が曖昧でリジットフレームにも関わらず、「車名:ハーレーダビットソン」の車両が混在していました
・車検証備考欄に「後輪緩衝装置なし」と記載されている車両
→以前は本来の車名OK!現在は車名不明
上記の様に製造時からリアショックのない車両や、輸入時にリジットフレームとして登録された車両などが該当します
こちらの記載がある場合は打刻や車名等に関わらず、引き続きリジット車として使用可能です
所謂公認リジットとはこちらの状態が該当します
下記の制度施行時期の関係で「車名ハーレーダビットソン、後輪緩衝装置なしの記載あり」の車両も僅かに存在し高価で取引されています
上記の条件を満たすにも関わらず、「後輪緩衝装置なし」の記載が無い車両も存在します
そちらに関する内容が下の項目となります
・初年度登録が平成17年3月31日以前の一部車両
車名に関する取り扱いや後輪緩衝装置に関する制度が整備され施行されたのは平成17年4月1日からとなります
それ以前はリジット車に関わらず本来の車名が記載された車両、職権打刻の車両、緩衝装置の記載の有るもの無いものが混在しています
現状で輸入時にリジット車として登録された物か、国内で不正に改造された車両かを判断する事が出来ない為、初年度登録が平成17年3月31日以前の一部車両はリジットフレームが黙認されています
尚、初年度登録ですので保安基準適合年月日で無い事は要注意です
ショベル=リジットOKでは無いですよ!
→令和7年に1980年製の車両を製造年月日証明の上、国内新規登録
→初年度登録令和7年 保安基準適合年月日1980年になる
こちらは公認ではありませんので何処かのタイミングで一律「後輪緩衝装置なし」の表記がないリジット車は認めない、などの制度改正が行われる可能性があります
あくまで黙認状態ですので車検の度にドキドキする事は必至です
反対に平成17年4月1日以降が初年度登録の車両は「後輪緩衝装置なし」の記載が無い限り
リジット車は認められません
また職権打刻=リジットOKで無い事にも要注意です
また現在黙認状態であるこちらの車両に「後輪緩衝装置なし」の記載を追加する事も出来ません
ここで注目したいのはリジット車を国内で作成すること(リジット化)は一切認められていませんが、リジット車の輸入は引き続き認められている事です
ロードホッパーやサンダー250など比較的新しいリジット車も存在しているのが面白いですね
